それでは続きからー
パッと見で明らかに他と違う感が漂っているよね…
大きく3つあるので順番に説明していくね。
見たまんまだしそうですよねーって感じだと思うので
他と比較した結果で見てみよう。
C-C>CH2=CH-CH=CH2(※)>benzene>C=C
※1,3-butadiene
ということで1,3-butadieneのCとCの長さよりも短くなっております。
①で分かる通り正六角形になるので当たり前っちゃ当たり前だね。
これについても二重結合あるから、そだねー(死語)と思うかもしれない。
ただここからちょっと突っ込んだ話になります。
①、②から分かるように平面的な構造に偏りはない。
そして 応用編:ジエンの特徴② – 構造 と同じ考え方になるんだけど
benzeneの6つのC上の電子密度は等しい。
これは別に平面的だからという訳ではなくて
それぞれのCのp軌道は両端のCのp軌道と同じ大きさになっているからなんだ。
同じ大きさということは重なりやすいということ。
このおかげで電子は両端に非局在化、つまりは6つのCそれぞれに非局在化する構造が出来上がっているというわけ。
上記を外から見ると下図の右側ように
環状の雲が見えてくる。
こいつをπ電子雲といいます。
例によって安定性の確認はまた水素化熱を使う。
水素化熱自体はアルケンで紹介済みのものなので詳しくは
応用編:アルケンの特徴③
をご参照。
ここでは二重結合を1,2個持ってるcyclohexeneが
それぞれcyclohexaneになる時の水素化熱を見てみよう。
2重結合が1つだと-28.6kcal/molなので
単純に2つある場合を考えると
-28.6×2=-57.2
になりそうだが、結果はそれよりも低い。
まぁ見ての通りこいつはジエンなので共鳴で安定化したものになる。
ということは共鳴安定化のエネルギーは
57.2-54.9=2.3kcal/molとなる。
上のような結果となるので
benzeneのcyclohexaneになる時の水素化熱は
-28.6×3+2.3×3=-78.9kcal/mol
となると思われていた。。。
が、実際には
という実験結果が出てしまった。
ようするにbenzeneにおいてもジエンなどで言われていた
共役以外の何かが作用して安定化していることがわかった、ということなんだ。
※4、芳香族で詳細を解説します。
ちなみにかの名言
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さて前述している通りbenzeneの安定化の要素がこの芳香族性だ。
名前だけみると匂い?と思うかもしれないけど、形状の話になります。
名前の由来としては昔(19世紀頃)匂いがある化合物に共通する構造だったので
芳香族(aromatic)という名前がついた。
なので現在では匂いは芳香族の特性ではないことになっています。
ということで現代における芳香族の特徴は一つ
4n+2(n=0,1,2…)のπ電子を持つ
平面環状共役ポリエン
だ。
π電子については先ほど解説した通り。
問題は平面環状共役ポリエンの方だね。
これは-C=C-C=C-(数は何個でも)を持っていて
環構造になってるものをことだ。
これだけ見ると平面は?と思うかもしれないが
上記の条件を満たしていると…と考えてもらえば
共役をしやすくするために平面になるっていうところは理解してもらえるんじゃないかと思います。
構造でも触れたけど、芳香族性を持つ形だとπ電子雲が発生し電子がより分散される。
そして共役によりさらに安定化される。
これが芳香族が普通のジエンなどより安定な理由ってわけだね。
さてここまでわかったところで改めてベンゼンのπ電子の数を数えてみると…
6個あるよね。
つまりさっきの式で言うとn=1として
4×1+2=6
となるので、芳香族であるということが分かるんだ。
まあ、図を思い浮かべるのが面倒だという人は
二重結合の数×2だと考えてもらっても問題はないので覚えやすい方でどうぞ。
※二重結合にはπ電子2個が使われてるからね。
まぁこういった感じで
ベンゼンは芳香族という特定の形になることで更なるパワーアップを果たしたわけだ。
「特定の形をとることで大きな力を得る」
という言葉にピンとこなければ
Δダイナマイト
黄金長方形
なんかをググってみるといい。
とても良い例が出てきます(o^―^o)
さて今のはn=1の場合だったよね?
もちろんnの数を変えるともっと多くの芳香族ができる。
これについては…ちょっと長くなってしまったので
後で解説しようと思います。
ではまた次回。
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