アルケンの反応③

それでは前回の続きから

4.オキシ水銀化-脱水銀化

さて 水銀化 とまた聞きなれない単語が出てきたね。
この反応の目的としては
・Hg(OCOCH(酢酸水銀)
・H
を用いて、OH1個を置換基が多いアルケンのCにつける反応になる。
前回説明したマルコフニコフ則に従ってるから
マルコフニコフ付加とも呼ばれているね。
※酢酸は式で書くと長いので
以降はAcと記載します。
AcはAcetate(酢酸の略)なので
酢酸水銀はHg(OAc)ってことです。

では実際の反応を見ていこう。

2段階になっているから順番に説明するね。

まず最初の反応について
Hg(OAc)が以下のように共鳴し、Hgが電子不足なる。

このため、電子が豊富なアルケンの二重結合を攻撃する。

前回も同じような話があったよね?
そう今回も三角形が作られるんだ。

そして次の反応について
NaBHによるHgOAc部分がHに置き換えられる。

一応ラジカル機構で進行すると考えられているのだけれど
まだはっきりしていないので、ただのお勉強レベルで追及される機会があんまりないかな。
なのでそのまま覚えてしまっていいと思います。

5.ヒドロホウ素化-酸化

これは先ほど紹介した オキシ水銀化-脱水銀化 とは
逆のことをしたい時の反応だ。

つまり大きな目的としては
OH1個を置換基が少ないアルケンのCにつけたい時に使われるってことだね。
では例を見ていこう。

こちも2段階になっている。
そして真ん中に何だかよくわからない(汗)奴がいる。
・・・では順番に説明していくね。

まず最初の反応について
水素化と同じように同時にHとBHが近づいている。

なんでこういった動きになるかというとBHルイス構造で見てみるとわかりやすい。

電子が入るスペースが2つあるので結合が可能になるってことだね。

この後Bに残った2つのHも同じ道をたどる。
結果、以下のような謎の化合物になるんだ。

そして次の反応について、
とりあえず箇条書きしてみよう。

①HがNaOHによってH+奪われ、OOHが求核攻撃をする。

②転移反応(結合位置が変わって分子構造が変わる)が起こる。

③NaOHを使って加水分解反応が起こる。

さらっと描いたけど、加水分解反応は以下のようなイメージです。

XOが↓です。

上記を3回繰り返す
③のアルコールとホウ酸ナトリウムが生成する、というわけだ。

さて一連の流れを見ると、最初の反応でBHが結合した部分にOHがつくことが分かるよね。
BHは近づきやすい、すなわち立体障害の少ない方に結合する。
だから置換基の少ないCに結合するというわけだね。

ではまた次回。

 

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