アルコールの反応③

さてアルコールの反応はこれで最後。

エステルの合成

名前のまんまでエステルは以下のようにカルボン酸アルコールが反応することでエステルが生成するよって話。

見て分かると思うけどカルボン酸とアルコールからOが取れることによって生じる化合物になる。
反応は単純にエステル化といわれることもあれば
水がとれてくっつく一連の反応ことから脱水縮合なんて呼ばれたりもするね。
さてエステルっていう紹介をしたのだけれど、今回紹介しているのはカルボン酸エステルの反応だ。

wikiには
・有機酸 or 無機酸のオキソ酸
・アルコール or ヒドロキシ基を含む化合物(例:フェノール)
との縮合反応で得られる化合物のこと全般をさすもの
といったことが書いてある。

これはそのまんまに捉えてもらって問題なくて、実はカルボン酸エステル以外にも色々なエステルは存在する
だけど有機化学の世界では基本的にエステルとはカルボン酸エステルを指す。
生化学では他のも必要になるけど…。
まぁこの辺はあんまり難しく考えずにそういうものだと思っておいてくれ。
※気になったら調べてみよう!

ハロアルカンの合成

これには2つの方法がある。

PBr(三臭化リン)を使った方法

まずPBrについてなんだけど
こいつはルイス塩基ルイス酸両方の性質を併せ持っている
これがどういうことかというと、電子の受け渡しが両方とも出来る超便利なものっていう意味だ。

さてなんでこんな性質を持つかなんだけど、それぞれで見てみよう。

<ルイス塩基の性質をもつ理由>
Pは周期表では第15族。Nと同じ。
ということはP上に非共有電子対をもつ
まぁ単純にこれが理由になるよね(今回何かの役に立つというわけではないが)。

※例として、ルイス塩基として三臭化ホウ素と1:1の安定な錯体を形成するというものがある。

<ルイス酸の性質をもつ理由>
基礎編:求核置換反応 でさんざんでてきた有能な脱離基のBrを覚えているかな?
これを持っている上に、Sp2混成軌道、もっと簡単にいうなら平面構造なんだよね。
つまり、攻撃しやすい上に、Brと簡単に置き換わる配置になっている状況、ということだ。
で今回重要なのはこっちの性質になる。

アルコールとPBrを反応させると以下のようにSN2反応が起こる。

補足として上の例では1級アルコールを使っているけど2級でも3級でも同じようにハロアルカンは作れるよ。
なぜなら求核攻撃する側だからね。

ついでももう一つルイス塩基とルイス酸の性質を併せ持っていれば別にPBrでなくても問題はない。
例えばPI(三ヨウ化リン)なんかでも同じになるってことは覚えておいてね。

SOCl(塩化チオニル)を使った方法

結論は①と同じでSN2反応が起こってClのハロアルカンが生成される。


急に出てきたピリジンが?なのかもなので補足を
まずピリジンが持って行ったClなんだけど
こいつは中途半端に求核攻撃できる強さを持ってたりする。
だから放置しているとせっかく作ったスルホン酸エステルを攻撃してしまい、
収率が悪くなってしまう。
ピリジンは塩基性が強くて、Clを回収するのにとても便利。
だからこの反応に使われているんだ。

でこのスルホン酸エステルを使えば以下のようにハロアルカンを得られる。

さっきスルホン酸エステルは脱離基として便利と紹介したけれど
この反応でできた負電荷は3個のOを用いて共鳴ができるので、この状態でも結構安定
つまりは脱離しにくいってことだよ。

さてアルコール系はここまでなので次回からは別の有機化合物について解説します。

ではまた次回

© 2019 猫でもわかる有機化学