さて前回からの続きです。
これは
基礎編:酸・塩基の定義
で触れている塩基の性質を利用するよ。
まぁ簡単な話で塩基によってOHのHは奪われる。
そんでもって奪われたHの代わりに塩基の陽イオンがくっつくことで安定化するって現象が起こる。
これを利用して何が出来るかというと
CH3O-という求核剤を作れるってことだ。
例えばこんな感じ
アルカリ金属というのは…なんとなくは分かるよね?
周期表のⅠ族(左端の列ね)の中にある
Li:リチウム
Na:ナトリウム
K :カリウム
Rb:ルビジウム
Cs:セシウム
Fr:フランシウム
のことだ。
ついでにちょっと紹介しておくと周期表で見ると同じⅠ族には水素がいる。
だけどアルカリ金属とは性質が大分異なる。
アルカリ金属元素の場合、一価の陽イオンが生成しやすい(まぁ言い方を変えるなら安定化しやすい)。
一方、水素の陽イオンであるプロトンはむき出しの正電荷になる。
なので電子を核から引き離すためのイオン化エネルギーが非常に大きい。
アルカリ金属元素が一価の陽イオンで安定化しやすい理由は閉殻構造によるものなんだけれど
プロトンには閉殻構造が無いので安定化しようがない。
で、これが最終的にどうなるかというと
水素:共有結合性をもつ
アルカリ金属元素:金属性をもつ
といった性質の違いを与えることになる。
まぁ厳密にいえばイオン半径が小さめなリチウムも
アルカリ金属としてはちょっと変わった反応を見せることはあるけど・・・そこら辺はまぁ趣味の範囲かな?
さて大分脱線したので話しを戻して
上の方でざっと紹介したアルカリ金属の中で一番メジャーなのは・・・まぁNaだろう。
なのでこいつの反応を紹介してみよう。
まぁ見た感じでお察しなのだけれどこいつも2.の時と同じで求核剤を作るための反応になるよ。
2.と違って式だけで見ると?になる人もいるかもしれないのでもうちょっと細かく紹介しておくね。
もう大体想像はつくんじゃないかな?
例えば1級アルコールだとSN2反応がおこる。
そして2、3級アルコールだとSN1,E1反応が起こる。
2.~4.については
基礎編:求核と脱離の起こりやすさ
を理解できてたらスルスルっと入っていくと思うので、ピンとこなかったら復習するようにしてね。
転移反応っていうのは
化合物の原子(団)が結合位置を変えることで、分子構造(骨格)が変わる反応のことだ。
まぁ例を見て考えていこう
流れとしては
・OHが脱離して2級カチオンになる
・2級カチオンの状態からHが隣に移動する
・3級カチオンになる
って感じだね。より安定な3級や2級アルカンを作ろうとしておこっていることはなんとなく想像がつくことだろう。
さてまぁこいつも動きだけみていると???似なると思うので、原子軌道の動きを追いながら解説してみよう。
隣接しているってことは原子軌道に重なりができてくるんだ。
このことにより電子の移動が可能となってくる。
基礎編:ラジカル でも似たようなことあったけど覚えているかな?
大事なことなので何度もいうけど、化合物ってやつは常にできるだけ安定の状態になろうとする。
移動できるならできるだけ安定な構造をとろうとする。
だから転移が起きているわけだ。
さてついでに理解、というか思い出してほしいことが一つ。
この反応はSN1やE1よりも早い。
だから3級カチオンができてからはSN1、E1反応が起こりやすくなる。
まぁこんなところにも繋がりがあるってことだね。
もう少し続きます。
ではまた次回
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