それでは続きから~
さて、前回でもちょっと書いてたけど
ここからは共役付加反応の応用編みたいなものになる。
まず有機金属反応剤について、忘れていたらは
応用編:アルコールの合成③
を参考にしてみてください。
有機金属反応剤はご存じの通りそれぞれで求核性に差があるので全て同じ結果にならない
ってところは気にしておいてね。
全部で3種類あるので順番に見ていこう。
こいつは以下のように1,2-付加のみを起こす。
こいつは反応条件によって
1,2-付加や1,4-付加のどちらかを起こしたり、両方を起こすこともある。
条件を厳しくしないと制御が困難→手間がかかって面倒
ということで、あんまり使えない。
初出だったと思うので簡単に紹介しておくと
有機キュプラート反応剤=ジメチル銅リチウム[(CH3)2CuLi]のことだ。
先に出ている有機リチウム、マグネシウムと対比して有機銅化合物とも言われます。
こいつの合成は以下のようになる。
で、こいつを使うと1,4-付加のみ起こすことが出来る。
上で紹介した有機キュプラ―トを使った後にさらにハロアルカンと反応させると
以下のようにジアルキル化した生成物が出来てくる。
α,β-不飽和カルボニル化合物に3,4-付加になっているんだけど
これは言い換えるとアルケンへの1,2-付加になる。
生成物はR2=Hの時
α,β-ジアルキル化アルデヒド
または
α,β-ジアルキル化ケトン
って呼びます。
またパっと見でも想像がつくと思うけど以下のように
(A)シス、(B)トランスが考えられる。
この場合は言うまでもないかもだけど、立体障害のおかげでトランスの方が多くできます。
これはエノラートイオンがα,β-不飽カルボニル化合物に1,4付加(共役付加反応)するといったものだ。
このことをMichael付加(Michael addition)って呼ぶ。
名前で想像つくと思うけどアメリカ人化学者の方が発見した反応です。
この反応はエノラートイオンのα炭素の求核性と
α,β-不飽和カルボニル化合物(Michael受容体ともいう)のβ炭素にエノラートイオンが求核攻撃し
次に生じたエノラートがプロトン化(この例ではH2OがHを提供)されるという流れで進む。
反応機構から分かる通り、この反応は
・エノラートのα炭素の求核性(-)
・α,β-不飽和カルボニル化合物のβ炭素求電子性(+)
の2つが磁石のように上手い事引き合ったことによって起こった中々にドラマチックな反応です。
さてそれでは一例を紹介しておこう。
そして上の反応機構が以下だ。
補足説明は特にないのでわからなかったらこの頁をまた読み直して下され。
さてなんでわざわざ最後にこういった例を紹介したかというと
ものによっては反応がここで完結しない、というパターンが存在するからなんだ。
まぁ細かい話は長くなってしまうので、次回に回します。
ではまた次回。
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