ハモンドの仮説

さて突然ですが質問です。

そもそも「有機化学」何を目的とした学問でしょうか?

多分なんだかよくわからないけど授業でやってるし・・・

っていう学生さんは多いんじゃないかな~って思う。
※私もそうでした。

言い方は色々あるけど結局のところ

「新しい有機化合物を生み出す」

事を目的とした学問なんだよね。

例えば

のようにまとめてしまうと同じC3H8OでもCH3やOHがついているだけで全然別物だし
例えば薬理学ってものに入ると、この構造によって生体への影響が段違いに違ってきたりする。

だから明示的「ここにこれをつける!」っていうコントロールをしないといけない。

有機化学ってそんな学問なんです。

まぁきっちりした話は SN2反応 とか SN1反応 で改めて紹介するのだけれど
このSN1、SN2反応ってやつは

のようにハロゲンをひっつけてやると起こりやすくなる。。

・・・前置きがえらく長くなってしまったのだけれど

今回はこのハロゲンを「好きな場所につける!」ための考え方をテーマに解説していくよ。

タイトルにもある通り、その考え方が通称

ハモンド(Hammond)の仮説

というものだ。教科書的にいえば

「遷移状態の構造は原料、生成物のうちよりエネルギーの近いほうに似ている。」

こいつは実例があった方がイメージがつくと思うのでサンプルを見ながら解説していきたいと思う。
まずは以下をご参照。

さてラジカルでの説明でいくと
「絶対3級ラジカルが一番たくさんできるんじゃない?」
って思っちゃう人がいると思う。
けど現実には図の通り(赤字が生成量の割合ね)で必ずしもそうとは限らない。

それはなぜなのか?じゃあ見ていくとしよう。

まずFについて

遷移状態では図のようにC-H結合が切断されかけ、H-F結合が新しくできようとしている
この遷移状態っていうのはエネルギーが高くとても不安定で、余計なエネルギーを得たくない、今にもあふれてしまいそうな状態なんだ。

某7つの玉を集める国民的少年漫画で
アンデスの根菜みたいな名前の敵が
N沢M子ボイスの主人公の超エネルギーを吸収しすぎて
爆発しちゃうっていう話があるのだけれど
まぁ何事も過剰供給はよくない(安定・平常状態が遠のく)ってことなんだよね。
※↑ようは食べすぎ注意ってことです(汗)。

なのでより安定に~っていう原則のもと、効率よく反応を行う必要がある。
だから遷移状態ではC-H結合の切断とH-F結合の生成を同時に行っている

でもっというと出来るだけ安定な状態で進めたいので
この同時進行を同じ力で行う必要ことがより理想的

つまり遷移状態ではC-H結合の切断とH-F結合の生成が釣り合っている状態なんだ。

でもH-Fの結合エネルギー(136kcal/mol)はC-Hの結合エネルギー(105kcal/mol)よりも大きい。
だから同じくらいの力にするために、
・エネルギーの大きい方は遠くから引っ張る
・エネルギーの小さい方は近くから渡す
っていう状態になるんだ。

だから遷移状態はラジカルが生成する反応前の状態に近い場所で起こってしまう。
この場合はほとんどラジカルではないからラジカルの安定性の差は大きく反映されない。

ではどうして1級ラジカルのほうが3級ラジカルよりできやすいの?
ってなるかもしれないけど、これは簡単に言うとHを取りやすいからなんだ。

3級からHをとる場合はCH3が3つもある中から取らなきゃいけないからとってもとりづらい。
だから余計なエネルギーが必要になる。
でも1級からHをとるとなると、まぁ一部はCH3よりでっかい塊があるけど、他2つはHだからとってもとりやすい。

だから活性化エネルギーは小さくて済む
→反応しやすいってことになるんだ。

じゃあBrは?ってことになるんだけど

H-Brの結合エネルぎー(87kcal/mol)はC-Hの結合エネルギー(105kcal/mol)より小さい。
つまり、遷移状態での結合の長さはC-H>H-Brとなる。
ということはまぁさっきと逆の結果になるってことだね。

さて今回の説明は以上・・・といいたいけど最後にもう一つ

例えばだけど
「3級水素は1級水素に比べて何倍早く反応する?」
みたいな問いかけがあったような記憶があるからおまけで考え方を紹介しておくね。

考え方はシンプルで●級別に
反応性は生成物の収率/反応前の水素の数
を出して比較すると分かる

上で紹介したF、Brで考えると

Fの場合

Brの場合

ってなる。。。なんかえらい長くなったね。
頑張って読んで(笑)

ではまた次回

© 2019 猫でもわかる有機化学

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