アリル系の特徴②

では続きから

3.酸性度

前回のカルボカチオンのできやすさのところでも
出たけど超共役が働いているので以下のように安定化される。

数値で見るとプロパンより高くなるってくらいだね。

まぁオマケみたいなものとして覚えておいてください。

4.構造

3.で共鳴構造を描いたのだけれど
実際のところ以下のようにラジカルアニオンの形態もとれる。

では解説をば。
まず以下の軌道の状態を表した図を見てほしい。

まず二重結合があるので当然sp混成軌道がある。
で問題は単結合の部分なんだけど
単純に考えればsp混成軌道と思うかもしれないが、そうとはならない。

なんというか全ての共鳴構造を合わせたもの
になっているらしく、実際には
全てがsp混成軌道
と考えられているんだ。

さてこの前提を理解したうえで、まず一つ大事なことは
こいつは平面構造ってことだ。

そして3つのp軌道はお互いに相互作用をする。
この相互作用により、以下のように新しい分子軌道が3つ作られるんだ。


※赤い点線は反発してるということ表してます。

基礎編:原子軌道基礎編:分子軌道

で紹介したけど波には+と-がある。
そして重なり合ったり反発しあったりしてエネルギーは上下している。

上で描いた各エネルギーの関係性は

結合性軌道 < 非結合性軌道 = 通常状態 < 反結合性軌道

んで、カチオン、ラジカル、アニオンの状態を
基礎編:原子軌道 電子の入る順番を示した図に照らし合わせて見てみると
以下のようになる。

一番電子が多いアニオンでさえ、非結合性軌道どまりになっているよね。
だから相互作用しても不安定にはならない。
だから共鳴ができるということだ。

ちなみにこのようにp軌道上の電子が3つ以上の原子で行ったり来たりして安定化することを
電子の非局在化というよ。

特徴はこんな感じかな
次回は反応について解説していきます。

ではまた次回。

© 2020 猫でもわかる有機化学