今までいくつか構造式の描き方を紹介してきたけど、立体配座を簡単に表すための描き方であるNewman(ニューマン)投影式について説明するよ。
さてあえて立体配座というからにはもちろん意味がある。
いきなり言葉だけ聞いたなら立体配置の間違えでは?って思う人がいるかもしれないね。
この言葉にはきちんと違いがあって
立体配座:相互に変換ができる空間的な原子の配置
立体配置:相互に変換ができない空間的な原子の配置
っていう違いがある。
後で例を出すけどようは真ん中の炭素と炭素の結合が
単結合になっている ⇒ 相互変換できる
二重結合になっている ⇒ 相互変換できない
と考えてもらえばわかりやすいかな。
まずはとりあえずこんなもんだよっていう紹介を。
これだけみたらなんじゃこりゃ?って感じだね。
では普通の構造式からこの形になっていくまでの過程をご紹介。
どこの炭素同士の結合を基準にするかで描き方は変わってくるのだけれど・・・とりあえず基礎なので分かりやすいやつを紹介するね。
簡単にいうと手前の炭素と奥の炭素を一直線で並べてそこから生えてる3本の結合をずらして描いてる状態なんだよ。
もう少し詳しくいえば
“○”は奥の原子の中心 ⇒ 〇から生えていると奥
3つの線の中心の点は手前の原子の中心 ⇒ ○を突き破っているのは手前
ということになる。
円錐を真上から見た時がちょうどこんな感じだね。
こんな感じで立体を表現してますってこと。
さて気になるのはなぜこんな表現方法が必要になるかってことだね。
もちろん理由はある。
この表現は先に紹介した立体配座に加えて、その位置取りの安定性を考えるのにとっても重要なんだ。
結合 でも紹介したけど
二重、三重結合は簡単に回転することはできない ⇒ 立体配置
単結合は自由に回転ができる ⇒ 立体配座
っていう特徴がある。
で、この回転時の位置(空間配置)が立体配座の安定性に大きな影響を与えているんだ。
そして手前と奥で重なる位置に差異があるってことで、大きく2種類の型がある。順番に紹介するね。
名前の通り手前と奥の配置がかぶっている状態のことだ。
後にもいえることだけど、ここでそれぞれの中心から生えている原子の塊(HとかCH3とか)を風船と考えてみてほしい。
そうすると安定か不安定かが理解しやすいと思うから。
この場合は当然不安定になるよ。
だって重なり合った風船が場所のとりあいをしてしまうからね。
そしてもう一つ考えないといけないのは、風船の大きさには差があるということ。
例でいうと
・HとH
・HとCH3
・CH3とCH3
が被さるパターンが考えられるよね。
この場合、原子の塊としては当然CH3が大きいから、CH3とCH3が被さっている状況は一番不安定になっているってことだ。
なんで(仮)かっていうと上記の通り2種類あるから
パッと見だとわかりにくいけど微妙に配置が違うよね。
アンチ型は大きな原子の塊であるCH3が正反対の位置にあるのに対して、ゴーシュ型はとなりあった配置になっている。
重なり型の風船の話を思い出してもらえばどちらがより安定であるかはわかるよね?
そうアンチ型だよ。
まとめると大きな原子の塊がより離れている方が安定するっていうことです。
ではまた次回
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