それでは続きからー
さて、ちょっと前にアルデヒドやケトンをLDAなどの強塩基で処理すると
エノラートが生成するって話をしたよね。
<参考> 応用編:エノラートとエノールの特徴①
ここではこのエノラートを用いて2種類のアルキル化を行う反応について説明するよ。
エノラートはα炭素が求核攻撃可能。
だから以下のように求核攻撃を行いアルキル基をくっつけることができるよ。
ぱっと見単純そうだけど、エノラートが色々な特徴を持っているので
2つ注意しないといけない点がある。
1つ目は、エノラートは
かなり強い塩基
だということだ。
このため、この反応はハロメタンか第1級ハロアルカンでしかできない。
なぜかっていうと他だと下のようにE2反応起こすからね。
<参考> 基礎編:求核と脱離の起こりやすさ
2つ目は、エノラートを使った反応は
縮合がとても起こりやすい
ということだ。
縮合については以下を…
<参考> 応用編:アルデヒドとケトンの反応⑤
この反応が上手くいかないことの原因はこいつが多い。
例えば以下のようにケトンのアルキル化をした場合
1回のアルキル化では終わらず
2回目のアルキル化が起こってしまうんだ。
さらにケトンの両側の置換基が違う場合
上記2つの問題が同時に発生し、以下のように複数の生成物ができちゃったりする。
もちろんこの問題点について解消する方法はある。
例えば以下の反応では1種類のみの生成物を作ることができる。
α水素が1つしかないのと、第1級ハロゲン化アリルは
E2反応よりSN2反応を起こしやすいからだね。
ちなみにアルデヒドのアルキル化は進行しない。
理由は、以下のようにアルデヒドとそのエノラートが反応し
アルドール縮合を起こす反応の方が起こりやすいからだ。
詳細は次のアルドール縮合で説明します。
エナミンについては以下を…
<参考> 応用編:アルデヒドとケトンの反応⑤
さてでは以下で考えてみよう。
こいつについていも以下のように共鳴するので
求核攻撃することが可能だ。
※ちなみにエナミンは見てのとおりα水素ではなく
β炭素で求核攻撃なのでご注意を
そしてこの後は以下のとおり
ハロアルカンと反応し、イミニウム塩を生じる。
そしてその後水で処理すると加水分解され、
アルキル化された新たなアルデヒドやケトンと
第2級アミンが生成する。
要するに アルデヒドとケトンの反応⑤ で説明した
イミンの生成の逆反応になるってわけです。
ちなみに今回はケトン中心で説明したけど、
以下のようにアルデヒドでもいけます。
さて後一つ…
ではまた次回。
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