さて、この単元も今回でラストです。
この単元でちょいちょい登場している
1,3,5,7-cyclooctatetraene
想像はつくと思うけどこれはもっともっと大きくなる可能性があるし
それにともなってじゅげむのようにどんどん長い名前になっていく。
これを防ぐため、単環状共役ポリエン(CH)nのことを[N]annuleneと呼ぶようになったんだ。
IUPAC命名法の慣習でnが7以上でannuleneを使うって言われているけど
別に7より小さくても問題はない。
benzeneを単にannuleneと呼ぶこともある。
※from wiki…
なので例えば1,3,5,7-cyclooctatetraeneであれば
環が8個のCでできているので
[8]annulene
と呼ぶこともできるってことだ。
一応参考程度に他のアヌレンを紹介しておこう。
あとあんまり扱われることはないけど
二重結合が1か所三重結合になったらannuline(アヌリン)
っていうものになります。
名前でもう想像ついちゃうかもしれないけど
簡単にいってしまえば
ベンゼン(置換基がHのみ)だけが複数合体したものだとイメージしてもらえればいいかな。
お堅い名前でいうと
多環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbon)
略してPAH
になります。
※他にも縮合環式炭化水素とか言ったりする
例えば以下みたいなやつがあります。
こいつらはタバコや燃料などの不完全燃焼で発生する有害な汚染物質なのでご注意を。
※発がん性とかあったりします。
例えばナフタレンなんかは結構身近なもので防虫剤なんかに使われてる。
まぁなんとなく体に入るとヤバい感じはわかるよね?
※赤血球が破壊されるそうです…
ちなみに上図に書いてある番号の付け方はそれぞれの環で決められていて、基本的な考え方は以下の通り
一つ注意点として、③でつける第四級炭素の位置番号が大きくなるようにつける。
そして第四級炭素がphenanthreneのように連続しているならa,b,cとアルファベットを変えていく。
まぁこんな感じだね。
そしてこいつらは以下のように共鳴する。
さてここで寄与大という言葉に注目してほしい。
寄与っていうのは別に化学専門の言葉じゃないが、解釈があやふやだと理解に支障が出るので一応解説しておきます。
寄与をもうちょっと一般的な言葉で表すなら『貢献』だ。
ようは役に立つ事を行うこと、ということだ。
この場合の寄与っていうのは共鳴に大きな貢献をした。
つまりは共鳴の主体となっているってとらえることが出来る。
さてここでポイントとなるのはこの”寄与大”のものには『代償』が生じるってことなんだ。
ではその代償とは何だろうか?
…みたら分かるよね?
1つの環に4つしかπ電子を持っていない
つまりは大原則となる4n+2が満たされていないよね。
つまりは、芳香族性を失ってしまう、とうことだ。
実際の構造は共鳴構造がすべて合わさったものだから、
多環ベンゼンの場合は全てのCとCの結合の長さが同じにはならない。
つまり1つの環ほど電子は非局在化できないというわけだ。
※それでも普通のアルケンよりは分散してるんだけどね…
あとオマケで特徴の一つとして紫外線吸収帯をもっているっていうのがある。
これは化合物によって吸収できる紫外線のエネルギーが決まってるというものだ。
このおかげで構造を特定できたりもします。
ではまた次回。
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