さて続いて脱離反応の2つ目
E2反応について説明するよ。
E1と同様にまずは脱離反応で紹介した以下の反応を見ていこう。
この反応を別の方法で表現すると以下のようになる。
さて最初に言ってしまうとE1とE2を考える時に大きな違いがある。
まぁ図に描いているままなのだけれど
ようは立体の視点で考える必要があるっていうことだ。
上図の
①塩基(OH–)がプロトン(H)を奪う反応
②2重結合の生成
③脱離基(Br)の脱離
は同時に起きている。
さてこのことを何と言ったかな?
SN2反応でやったから覚えているよね?
そう、協奏反応だ。
実はこの協奏反応は特殊な条件で起こっているんだ。
さてここでもう一ひねり視点を変えてみよう。
さてこれが何か覚えているかな?
そうNewman投影式だよね。
※忘れていたら 基礎編:Newman投影式 へ
さてこの図のから分かることは
①で奪われるH
と
③で脱離するBr
が、ちょうど真逆にあるってことだ。(赤色になっているところね)
実はこの配置だとお互い邪魔にならない。
逆にいえばこの配置でないと反応が起こらなくなるんだ。
※この形をアンチ共平面(アンチペリプラナー)
なんていったりします。
さてもう言っちゃったのだけれど
この形で無い限りE2反応は起こらない。
もっといえば、この形になる・ならないで
E2反応が発生する割合を調整することが出来る
ということだ。
ここらへんは例があった方が分かりやすいと思うので以下を見てほしい。
さてA、BどっちがE2反応を起こしてCになり易いでしょうか?
勘がいい人はわかっちゃうと思うけどとりあえず
オーソドックスに考えてみよう。
とりあえずシクロヘキサンのイス型に直してみる。
※オマケで下にNewman投影式も描いてみました。
まずAの場合
C(CH3)3がエクアトリアルの位置にある(2)の方が安定だね。
しかもNewman投影式を見るとちょうどHとBrがアンチ共平面の位置にあるので、この状態でCができるね。
そしてBの場合
うーむ…どちらの状態であってもCはできそうにないね。
まぁ結論として出来ません。
かわりに下のようにイス型のBrの左側のHとなら(1)でも(2)でも出来ちゃったりします。
なので結果としては以下のようなものが出来ます。
そして厳密にはC(CH3)3の向きがあるのでこの”D”には以下の2種類が考えられる。
考え出すときりが無いけど、問題のこと以外も考えてみると
色々と発見できて面白い。
余裕があるなら、課題以外の色々なパターンを考えてみるのもいいと思います。
さてE1反応でSN1とE1の関係性(メインはSN1で生成物はSN1が出来やすい)は
なんとなく認識してもらってると思うのだけれど、
実はSN2とE2はそういうことにはなりません。
さてまとめて説明しておきたいところなのだけれど
これは話が長くなるので…ではまた次回。
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