さて、ベンゼンは高校化学でも出てきているので
なんとなくわかっている人も多いんじゃないかな?
知っての通り
分子式はC6H6
構造式は以下のように描かれる。
簡単な特徴としては
・石油の原料の原油に含まれているもの
・無色で甘い香りがするが、有害
・引火性が高い
ってところかな。
今回からはそんなベンゼンの高校化学よりちょっと深めの特徴を解説していくよ。
ポイントは以下の4つ
1.ベンゼンの命名
2.ベンゼンの構造
3.ベンゼンの安定性
4.芳香族性
では順番にいってみよー。
形から分かるようにベンゼンはあくまでベンゼン環
が主体となっているので命名に関わる内容は置換基によるところが大きい。
大きく3パターン考えられるのでそれぞれみてみよう。
これについては解説することはほとんどない。
置換基+benzene
とすればOKだ。
例えば下だと置換基はBr(bromo)なので
bromo benzene
となる。
置換基が2個ついている場合、ちょっと考えると分かると思うけど
それぞれの置換基の位置関係から以下の3パターンが考えらえる。
ぶっちゃけてしまえば
それぞれ1,2-などと数字で表現してもいい、が
実は芳香族置換基パターンという聞きなれないものがIUPAC命名法には存在する。
そして主に使われるのはこっちになっている。。。
これは芳香族炭化水素の水素以外の置換基を一文字で表すために考え出されたもので、
1,2-→o-(オルト[ortho])
1,3-→m-(メタ[meta])
1,4-→p-(パラ[para])
と表現される。
これはギリシャ語由来らしくてそれぞれ
ortho:直立
meta:~を超えた
para:(上に)対する
なんていう意味があるが、para以外は正直かえってよくわからなく
なると思うので忘れ去ってしまっていいと思う。
まぁ小ネタ程度に覚えてもらっておいたらいいんじゃないかな。
ということでそれぞれ
(ア) o-dibromobenzene(1,2-dibromobenzene)
(イ) m-dibromobenzene(1,3-dibromobenzene)
(ウ) p-dibromobenzene(1,4-dibromobenzene)
となる。
ちなみに置換基が別物ならアルファベット順に並べるという規則も
あるので併せて覚えておいてくだされ。
例えば以下は
m-bromochlorobenzene(1-bromo-3-chlorobenzene)
となります。
基本的な考え方は
置換基の位置番号が最も小さくなるようにする、だ。
例えば以下の場合
なんとなくまとまりがよさそうで、ついつい
× 1,2-dichloro-3-bromobenzene
なんてしてしまうかもしれないが、正しくは
〇 1-bromo-2,3-dichlorobenzene
なのでお間違えなく。
で置換基が3つの場合は
②の時のように芳香族置換基パターンが存在する。
あんまり見ることがないがついでに紹介しておこう。
(カ)のように置換基が全部隣り合った場合は
1,2,3-→vic-(ビシナル(vicinal))
(キ)のように3つの置換基が対象でない場合は
1,2,4-→asym-(アシンメトリック(asymmetric))
(ク)のように3つの置換基が120°の対象である場合は
1,3,5-→sym-(シンメトリック(symmetric))
となる。
ちなみにベンゼン自体が置換基になった時の場合は
phenyl
この名前からかよく構造式ではPhと略されたりする。
もし論文などでPhHと書かれてたらbenzeneのことを指す。
H?と思ったかもしれないが
置換基を比べる用途で
PhBr
PhCl
などがあったりするのでHがついている。
上の説明で勘がいい人は想像できたかもしれないが
ベンゼンを使った試薬は結構あり、慣用名で聞くとピンッ(死語)と来るものが多い。
例えば以下
tolueneはペンキやら接着剤等のいわゆる溶媒にとして使われている。
そしてphenolはプラスチックや医薬品の染料、消毒薬として使われている。
慣用名は販売名にもなっていたり
その研究室独特の省略名も慣用名を使ってることが多いので、都度確認するようにしておこう。
あんまりそのままで覚えると後々問題になることも多いので…(おっと)
あとよく出てくるもので紛らわしいのはbenzyl基かな?
どんなものかというとphenyl基にCH2が付いたものになります。
命名だけで大分長く語ってしまった…
次回はサッといこうと思います(-_-;)
ではまた次回。
© 2020 猫でもわかる有機化学