それでは続きを説明していくよ。
※ラスト ベンゼン誘導体 になります。
タイトルにもあるけど最後は
応用編:環状共役ポリエン③ に出てきた
多環ベンゼンだとどうなるのかを考えてみよう。
ポイントは…まぁそのまんまなんだけど以下の2つ
(1)1個目の置換基が結合する場所
(2)2個目の置換基が結合する場所
では段階を追って見てみよう。
ベンゼンの時はどこについてもそんなに気にすることはなかったけど
多環ベンゼンとなると話が変わってくる。
とりあえずわかり易くnaphthaleneで見てみよう。
環が2つのnaphthaleneの場合は2通りが考えられる。
この場合だとC1,C2だ。
さて、ではどちらになるのかを考えてみよう。
芳香族の特性を持つ中間体が2つあるね。
では次にC2に結合した場合
芳香族の特性を持つ中間体が1つだね。
つまりC1に結合した方が安定なんだ。
上記の通り共鳴構造の数は同じなんだけど
ベンゼンの構造を保った共鳴構造の数が違う。
中間体が安定ということは
遷移状態のエネルギーが下がり、反応が起こりやすい。
ということなので
1個目の置換基は以下のようにC1に結合する、ということが分かる。
さて2個目の場合は置換するものが
電子供与基、電子求引基で変わってくるので分けて説明します。
[a]電子供与基が結合していた場合
電子供与基が結合しているとベンゼンは、そう「活性化」したよね。
もっといえば反応性がupすることにより
より置換基を引き付けることになる。
なのでこの場合は、電子供与基が結合している環と同じ環に結合します。
で、オルト、パラ配向だから以下のようなC2、C4にそれぞれ結合した生成物ができる。
まぁ立体障害や中間体の構造の問題で
例の反応は結果としてパラ配向が主生成物になるけどね。
ちなみに共鳴構造(芳香性持つもののみ)は以下のようになっています。
上を見てもらうと、なんでC2、C4に結合するかわかるよね。
電子供与基と共鳴構造を作れるからだ。
逆を言うなら他の位置だと共鳴構造を作れない。
※余裕があれば一度他の位置でも試してみてね。
[b]電子求引基が結合していた場合
さて今度は、電子求引基だ。
これはまぁいうまでもなく結合することでベンゼンの活性を下げてたよね。
ということで2個目の置換基は電子求引基が結合している環には結合しようとせず
別の環に結合する、と推測できる。
ただ別の環だったらどこでもいいというわけではない。
具体的例があった方がわかり易いので以下をみてほしい。
C5、C8に優先的に結合するっていうことがわかるかな。
そしてここでも立体障害の問題があるので、主生成物はC5に結合している方になります。
電子求引基が結合してる部分に正電荷が来てないよね。
他の位置だと電子求引基の隣に来るのですごく不安定になるんだ。
これがC5、C8に優先的に結合する理由となります。
ではまた次回。
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