それでは続きを説明していくよ。
まずは前回の復習になるんだけど
ベンゼンに誘起効果を持つ置換基が結合していた場合
電子供与基、ハロゲンなら、2つ目はオルト、パラの位置に結合する
電子求引基なら、2つ目はメタの位置に結合する
だったよね。
ここでは実際の反応ではどこに置換基が順番についていくのか?を説明していくよ。
考え方としては
(1)1番強い活性化基が攻撃の位置を決める
(2)(1)で複数の混合物ができる場合、立体障害が大きいところでは起こりにくい
があって、基本この2つを順番にやれば大丈夫なのでしっかりと抑えていこう。
まぁ何事においても「一番強いもの」が決定権を持つのは当然の摂理ということで…
活性化基はざっくりわけた中で強さを比べると
<強>
-NR2,-NHR,-NH2 > -NHCOR
<中>
-OR、-OH
<弱>
アルキル基 > フェニル基
で、「活性化」という言葉から想像つくかもだけど「不活性化基」もある。
こちらはこんな感じ。
<強>
-COOH>-COOR>-COR>-CF3>-C≡N>-SO3H>-NO2>-N+R3
<弱>
ハロゲン(-F、-Cl、-Br、-I)
と、まぁ長々と書いた後で申し訳ないのだけれど
現在はこれらを過去の実験から超大まかに3つに分類して強さを判断している。
それが
-NR2 , OR>R,ハロゲン>メタ配向基
だ。
まぁ、電子供与基>電子求引基となることは容易に想像できるんじゃないかな。
あと電子供与基でも共鳴効果>誘起効果のため上記のような結果になる。
よって複数の置換基がある場合は下のようになる。
NH2とCOOH、BrとCOOHの間の矢印が消えているけど
これはあえて消しています。
詳しいところは(2)で解説するんだけど、ここでは求電子攻撃が起こらないのです…
さて、さっきは強さのランクが違うもので比べていたけど
同じランクの強さ(例えばNR2とORなど)が一緒だった場合も考えられるよね?
この場合は単純に複数の生成物ができます。
例にならってNR2、ORの場合はこんな感じ。
さて↑の場合、立体障害が大きいところでは起こりにくい。
これは例を見てもらった方が分かりやすいだろう。
NH2とORの間に本来は結合ができるはずなんだけど
基本的にここには結合しない。
そう、理由は立体障害のせいだ。
(1)の※の理由だね。
大雑把な考え方として、とりあえず
2つの置換基の間への求電子攻撃は起こりにくい
と覚えておくとわかり易いと思うよ。
ちなみに(1)と(2)は
2置換以上のベンゼン誘導体
が対象のルールになる。
なので、別に3置換でも4置換でも同じになるよ。
ではまた次回。
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