それでは続きからー
さてこいつは以下のように
①ケトン(アルデヒドでも可)
②反応性の高いアルデヒド(ホルムアルデヒドが多い)
③アミン
を反応させることで
β-アミノカルボニル化合物(Mannich塩基)
ができる反応です。
書き忘れたけど・・・条件として酸性条件下(HClを含むアルコール中)
で進行する反応になります。
ちなみにMannichの読み方はマンニッヒ
ご想像の通りでこの反応を開発したドイツ人化学者
Karl Mannichさんの名前から名づけられております。
ここでケトンやアルデヒドが出ているので
アルドール反応(※)と似てるなって思った人もいるんじゃないだろうか?。
※参考 エノラートとエノールの反応④、⑤
まぁ当然のことながらポイントとなる違いがある。
何かというと、それはずばり 求核剤 だ。
簡単に比較してみると
Mannich反応は
求核剤は エノール
基質は カルボニル化合物とアミンによってできたイミニウムイオン
で、結果出来るのが上に書いた通り β-アミノカルボニル化合物
一方アルドール反応は
求核剤は エノラートイオン
基質は カルボニル化合物
で、結果出来るのが β-ヒドロキシカルボニル化合物
といった感じで別物ってことが見て取れると思います。
2つの違いを比較できたところで
続いては反応機構を見てみよう。
まず反応性の高いアルデヒドとアミンが反応してイミニウムイオンができる。
(1)が起こる一方で、ケトンが酸触媒(HClとか)によりエノール化します。
さてまたちょっとわちゃわちゃしちゃうんだけど
(2)でエノールができるとすぐに
(1)のイミニウムイオンのC=NのCを求核攻撃する。
何でこいつかというと近くにN+があるよね?
こいつのお陰で+に帯電しやすくなっちゃってるからなんだ。
最後はC=OのHがNR2へ移動し、Mannich塩基の塩ができる。
さて反応自体はほぼ(4)で終わっているので
教科書なんかでは結構省略されがちなんだけど
まだ塩の状態なのでHを取ってやる必要があるよね?
ということで最後に塩基を使ってHをとり、目的の
β-アミノカルボニル化合物(Mannich塩基)が完成、となりまする。
でこいつが結局なんなの?って思った人の為に補足しておくと
ようはこいつは錯体なんだよね。
なので例えばβ-アミノ基を脱離させたり~なんかすることで
色々な合成反応で必要になったりするのです。
さて、最後に別パターンの例1つご紹介。
今回は
①ケトン(アルデヒドでも可)
②反応性の高いアルデヒド(ホルムアルデヒドが多い)
③アミン
で反応させたんだけど、これが
1つの化合物の場合どうなるのか?
を見てみよう。
中々に奇怪な環ができた…。
さてなんであえて最後にこんな?なものを紹介したかというと
この結果構造がretronecine(レトロネシン)と似ているっていうことで
注目されているからなんだ。(2022年4月現在)
retronecineはそこら辺の植物の多くに含まれていて
こいつと似たような構造が、肝障害の原因になると考えられたりもしているんだ。
まだまだ研究中の分野だけど何かのとっかかりになったらな~
と思ったので紹介させていただきました。
ご興味あったら是非!
ではまた次回。
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