それでは続きから~
アミンは以下のように
・sp3混成軌道3つ
・孤立電子対
からなる正四面体構造をしている。
さてこの構造を見た時点で気づいた人もいると思うけど
孤立電子対1つの置換基と考えると…。
そう、3つの置換基が全部異なる場合、アミンはキラルになりえるんだ。
さてここまで説明しておいて申し訳ないんだけれど
実際のところアミンは光学活性を持たない。
理由は
4つ目の置換基が孤立電子対だから
なんだ。
どういうことかというと、孤立電子対の場合
以下のように平面上の遷移状態を経由して容易に反転が起こる。
これがどういう状態なのかわかるかな?
大分前の話になるんだけど、ラセミ体の状態になっているんだ。
※参考 ラセミ体とメソ体
ようはこの状態は光学不活性な状態なんだよね。
この現象はそのまんまラセミ化されるっていわれます。
そしてこの反転に必要なエネルギーは5~7kcal/mol程度しかない。
例えば運動不足の代表格、デスクワークのサラリーマンだったとしても
一日の消費カロリーは2000kcalくらいある。
だからかかるエネルギーが少ないので、いくらでもクルクルしてしまうわけですな。
さてNという原子の特性として
電気陰性度が大きい、というのは皆さんにとっては周知の事実と考えていいだろう。
このことからN-Hの
Nは―
Hは+
に分極している、ということが分かる。
つまりは…そう第1級と第2級アミンはNとHで水素結合が可能になるんだ。
※分かっていると思うけど第3級アミンはN-Hがないので対象外です。
ちなみにOHと比べてみると、水素結合を作る数は多いんだけど
電気陰性度が O>N になるので
水素結合単体の強さはOHよりも弱い。
このため、沸点・融点はアルカンとアルコールの中間程度になっている。
ただし例外的に水素結合の数は NH2>OH の影響によるものなのか
沸点が -NH2>-OH となる場合もあるのでご注意を。
また、非共有電子対があるので
全てのアミンがHを受け取れるという特性がある。
ただ一方ではHを他の化合物に渡すことが出来るのが、
第1級、第2級アミン
に限られている。
このため融点、沸点で比べた時に
第1級、第2級アミン>第3級アミン
になる。
あとは水への溶解性について
水素結合を形成できるってことから想像できると思うけど
水には普通に溶かすこと出来る。
ただ注意点として、あくまで小さなアミンのみの話ということを頭にいれておかないといけない。
具体的には C≧6 になると溶けなくなる。
?になった人は
アルコールの特徴①
を読み返して見ましょう。
Cが多い → アルキル基が多い → つまりは…
ということです。
本日はこの辺で~
ではまた次回。
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