それでは続きから~
名前の由来は発見したドイツの科学者 Georg Wittig さんから
リンイリド[phosphorus ylide]と反応させると
以下のようにアルケンとトリフェニルホスフィンオキシド[triphenylphosphin oxide]ができる。
まぁ見ての通り、アルケンを作るのが目的だね。
ちなみにこのリンイリドはWittig試薬っていう名前で販売されてます。
さて概要はここらへんにして
メインの反応機構を説明していくよ。
ここでは
・リンイリドの生成
・アルケンの生成
の2つに分けて説明していきます。
それではいってみよー
まずは材料であるリンイリドの生成方法だけど
これはハロアルカンから連続する2段階の反応で作るのが一般的だ。
まず以下のようにトリフェニルホスフィン[triphenylphosphine]と
ハロアルカンの求核置換反応によって
アルキルトリフェニルホスホニウム塩[alkyltriphenylphosphonium salt]が生成する反応だ。
ホスホニウム塩の+に帯電したリン原子が-を引きつける(-I効果ね)ので
隣接する炭素原子は+に帯電する。
このため炭素原子上の水素はH+として取れやすくなる。
そして上の反応で取れやすくなったH+を
塩基(アルコキシド、水素化ナトリウム、ブチルリチウムなど)が奪い、
イリドが生成する。
イリドとは
+を持つヘテロ原子(C,H以外の原子)
と
-を持つ原子(主にC)
が、共有結合した化合物の総称だ。
今回+を持つヘテロ原子はリンなのでリンイリドと呼ぶ。
イリドでは上図のように二重結合の共鳴構造式が書けるので、安定ってことがわかるね。
後はもう1度ハロアルカン(R4を持つ)や塩基との反応を繰り返せば
Wittig反応で使用するリンイリドが入手できるというわけだ。
さて、(1)でリンイリドがどういったものかは掴めたと思うので
冒頭に出てきたwittig反応の反応機構を紹介しておこう。
まぁ改めて説明することはあんまりないのだけれど…
<補足>
・リンベタイン[phosphorus betaine]
ベタインっていうのは双性イオンっていう+と-の両方の電荷を持つ分子の総称みたいなものだね。
細かい話はおいといて、まぁ不安定なのでするっと反応しちゃいます。
・オキサホスフェタン[oxaphosphetane]
別名はオキサホスファシクロブタン[oxaphosphacyclobutane]。
見ての通り四員環でこれも細かい話はおいておくと立体構造の関係で不安定。
さてWittig反応がどんな時に使えるかというと
二重結合がある場所に簡単に炭化水素を付けることができる
といった場合に使える。
分かる人は分かると思うけどこれはとっても便利なものなんだ。
なので、しっかりと押さえておきましょう。
さて、長かったけど次回でラストです。
ではまた次回。
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