酸性の強弱

「酸・塩基の平衡」ではpKa(酸解離定数)から酸性、塩基性の強弱が判断できるっていう説明をしたよね。
今回は「酸」「強弱」について、もう少し掘り下げて紹介するよ。

さて、何はともあれこの式から

この式からはまず
Ka(酸性)が大きくなるっていうことは
「HAよりも分解後のHとAの量が多くなること」
っていうのが見えてくる。

これはブレンステッドの定義である「Hを出すものが酸」にも繋がっているね。

で、いってしまえば上記の通りになるんだけど
「Hが出やすい」「酸性が強い」っていう推測が出来るよね。

ただ「Hが出やすい」って言われても?になるんじゃないかな?
なのでここでは少し視点を変えて考えるよ。
どうするのかというとHでなくA、つまりは共役塩基を基準で考えてみようというわけ。

まず「Hが出やすい」っていうことはそれだけ「共役塩基が出来やすい」っていうことがわかる。
「出来やすい」ということはそれだけ「共役塩基の状態である方が安定している」っていうことなんだ。

つまりは「共役塩基が安定なものほど酸性は強い」っていう話。

続いて「共役塩基の安定」に関係するものを紹介していくよ。

1.誘起効果

ざっくりいうと電気陰性度(※忘れてたら 結合 を参照)の差によってσ結合が分極して引き起こされる力のことだよ。
あえてσ結合っていう言葉からもわかるように距離が近いほうが効果は大きいよ。
もちろん結合を隔てて距離が遠くなるとその分効果が弱まります(汗)。
別名「Ⅰ効果」
由来は・・・英訳してみてね♪

既に少し書いてしまっているけど電子を「引っ張ったり」「押し出したり」する力なので2種類あります。

1-1.電子求引性誘起効果

これはハロゲン(フッ素とかね)とかOHなんかが結合した時に起こるよ。
なんでかっていうのはいうまでもないかもだけど・・・電子がより安定を求めて電気陰性度の高い方に集まるから。

名前のままだけど電子を「求引」する形になっているんだ。
別名「-Ⅰ効果」
」は電気陰性度が高い原子の方が少しばかり負(δ-)に帯電するからって考えるとしっくりくるかな?

1-2.電子供与性誘起効果

これはアルキル基(ほとんどの問題はコレになる)ONなど電子が有り余っており誰かにあげないと不安定なやつについて起こるよ。

こちらも名前のまま電子を「供与」する形になっています。
別名は多分予想どおりの「+Ⅰ効果」
理由は「-効果」の時と逆になるからわかってくれるよね。
分からなかったら少し上を読みなおしてね。

さてここで大事なのは上の2つの内「どちらがより共役塩基安定のか?」ということ。
共役塩基が安定(出来やすい)な状態っていうことは?
そう電子を求引する力が強い方がHは出やすく、酸性が強い
例えば電子求引をするハロゲンでしかも一番電気陰性度が高いフッ素なんかだと酸性度がとても強くなりますよって話。

2.共鳴効果

こっちは2重結合のπ電子や、非共有電子対が関与するπ結合の分極で引き起こされる力のことだよ。
Ⅰ効果は距離が遠くなると弱くなるっていうことは説明したけど、今度はπ結合なのでちょっと勝手が違ってくる。
※π結合がどういうものか忘れちゃってたらまた 結合 を参照で。

π結合はσ結合より結合が弱い分電子が広い範囲をほぼ自由に運動することができるので距離が遠くなってもほとんど力が弱まることがないんだ。
だから誘起効果よりも効果として強く現れることが多い
※電気陰性度が極端に強かったら逆転する可能性もなくはない。
何事も理不尽な規格外っていうのがいるんだよね(笑)

別名「R効果」
由来はこちらも英訳してみてね♪

これも誘起効果と同じく2つあるよ。まぁ結局は電子についての話だから。

2-1.電子求引性共鳴効果

別名はお察しの「-R効果」
結局のところ誘起効果って移動する電子が少ないのだけれど、こちらは完全に電子2つが移動して+、-に分かれるよ。
例えば2、3重結合に電気陰性度高いOやNがついてたらこんな感じになります。

2-2.電子供与性共鳴効果

別名は安定の「+R効果」。
O とか N とか S とか ハロゲン が二重結合に結合しているときに・・・例を見た方が早いと思うので下図をどうぞ。

原子の非共有電子対が二重結合に流れ込んで分極するってことだね。

どっちがより酸性度が高いのかっていう点については「誘起効果」と同じ見方で大丈夫。
頑張って理解してね。

3.共鳴

共鳴構造が出来ている時はどういう状況だったか覚えているかな?
※忘れてたら 共鳴 を見直してね。

電子が非局在な状態、つまり負電荷が分散されている状態なんだよね。
では共役塩基はどういうものかというと「A」からわかるとおり負電荷を帯びている

なんとなく想像がついたかな?
そう負電荷が分散するから共役塩基も安定するんだ。
つまり酸性が強くなるっていうこと。
もう一つ付け足すと、「共鳴構造が多いほど共役塩基は安定する」っていうこともいえる。
これについては今までの流れで理解はしてもらえると信じてます(汗)

例えば

だと(A)がより安定になるよ。理由は以下の通り

で、(A)の方がより多くの共鳴構造が描けるからね。
※本当は電子が一周できるまで共鳴構造は書けるけどA,Bに違いがないので今回は省略します。

4.超共役

ここは「ラジカル」で詳しくやることにするよ。
ざっくりいえばアルキル基が2重結合の近くにあると、電子を押し出して安定する」っていうこと。
まぁ今は名前だけで。

5.混成

そういえば混成軌道の説明をしてなかった(汗)。
詳しくは 混成軌道 を。
ようはs軌道の方がp軌道よりも原子核に近いから
s軌道の割合が大きいものほど共役塩基が安定で酸性が大きくなるよって話。

6.芳香族性

主だった性質とかについては 有機化合物の分類 を。
例えば下図のベンゼン。

このベンゼンは共役に関与している電子の数が6個ある。
この共役に関与してる電子って言うのが共鳴のときに動く電子の数ってこと。
今まで共鳴の時には電子が2つずつ動いてたけど、ベンゼンは2重結合が3つあって、それぞれ共鳴に関与できるから電子の数は
2×3で6個になるって話。
共鳴の時に動く電子の数が今まで通り多いってことはその分「負電荷」も増えるってわけで・・・後はご想像の通りです。

いつもよりえらい長くなったね・・・お疲れ様でした。

ではまた次回

© 2017 猫でもわかる有機化学

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