溶解性

前回触れた原子、分子の間に働く力について今回は溶解性への影響を解説していくよ。

まず溶解っていうのは固定(溶質)液体(溶媒)に溶かすことだ。
軽く高校の復習をすると溶媒には2種類あって

極性溶媒
⇒電気陰性度に差がある分子からなる。
※NaCl,H2Oなど。

無極性溶媒
⇒電気陰性度に差があまりない分子からなる。
※C-Hでのみできたものなど。

の2つがある。

さて溶媒に極性、無極性があるのだから当然物質(溶質)にも極性、無極性がある。

それを踏まえると単純な話以下の4パターンの組み合わせが考えられると思う。
(a)極性物質と極性溶媒
(b)極性物質と無極性溶媒
(c)無極性物質と極性溶媒
(d)無極性物質と無極性溶媒

この組み合わせの溶けやすさがどうなるんだろう?というのが今回の話。
先に結論だけ言ってしまうと
「同じもの同士なら溶けやすく違うもの同士なら溶けにくい。」
ということになる。
要するに極性物質+極性溶媒、無極性物質+無極性溶媒は溶けやすく、それ以外の組み合わせは溶けにくい。
っていうこと。

では一つずつ確認してみよう。

(a)極性物質と極性溶媒

これは「溶ける」
まずは下図を見てほしい。

NaClはNa+とCl極性共有結合(イオン結合)により合体したものである。
H2Oの中ではNa+とClが溶媒和(イオンと溶媒が静電気力や水素結合などで結びつくので溶質が溶媒中に拡散する)されるため、簡単に溶ける。
もっと簡単にいえば極性の大きいもの同士がお互いに引っ張っている方がより安定な状態をとるので、極性な溶質は極性な溶媒によく溶けるってこと。

(b)極性物質と無極性溶媒

これは「溶けない」。
なんでかっていえば極性物質が極性が大きな物同士で引っ張り合っていて安定だから。
NaCl(極性物質)と石油(CHのみで構成:無極性溶媒)を例に考えてみると
石油が無極性なので(a)のような溶媒和が起こらない。
そしてNaClが極性物質として個体状態が安定であるから、わざわざ不安定にする必要がないですよって話。

(c)無極性物質と極性溶媒

こいつも「溶けない」。
ろう(CHのみで構成:無極性物質)とH2O(極性溶媒)を例に考えてみると
ろうはCHのみなのでファンデルワールス力のみで引き合っている。
この力は弱いので切断することはとても簡単。
だけど、ここから溶解するにはまずH2Oの水素結合(超強い)を切断する必要がある。
水素結合を切断することはこの場合では明らかにH2Oが不安定になるので出来ませんよって話。

(d)無極性物質と無極性溶媒

これは「溶ける」。
まず無極性物質はファンデルワールス力のみで引き合っている。
(c)に似たようなことを書いているけど、この力は弱いので切断することはとても簡単。
その後は無極性溶媒と新しくファンデルワールス力で結合を作るので安定になる。
なんでそっちの方が安定なのかと言うと、ファンデルワールス力は接触する表面積が大きいと大きくなるってことを思い出してほしい。
溶かすときは物質より溶媒の量を多くしないと溶けないので、溶媒は溶質よりたくさんあるはずだよね。
つまりはそういうこと。

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ただここで「なんで?」ってなる人がいると思う。
引き付けあう力が弱いならわざわざ混ざる必要あるの?って感じで。

ちょっと分野がずれるのだけれど以下のような法則がある。
「分子が乱雑に配置されるほうが全体として安定になる」(熱力学の第二法則)
っていう考え方がある。
ざっくりいえば
「液体に固体を入れた時、それぞれ分かれた状態でいるよりも、混ざった状態になった方がエネルギー的には安定」
っていうこと。
だから、なるべく「混ざり合おう」とする動きが自然なんだよっていう話。

今回のことでいうと(b)(c)が混ざり合うには既に安定状態である極性物質・溶媒を壊さないといけない
この壊すことで生まれる「不安定さ」は「お互いに混ざり合おうとする」自然な動きよりも安定でいることに与える影響が大きいんだ。
だから(b)(c)はお互いに混ざりあうことがない。
けど(d)には(b)(c)のようにどちらかが極端に安定でそれを壊さないといけない、といった「不安定さ」に繋がる要素がない
だから「混ざった方が自然」っていう原則に従って混ざり合うことが出来るってこと。

うーん、しょうがないとは思ったけど文章ばっかりだね(汗)。
今まで学んでいたことがこういったことに繋がってるってことがわかってもらえたのなら嬉しいよ!

ではまだ次回

© 2017 猫でもわかる有機化学

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