反応と平衡

物理化学でもある有機化学で計算が含まれる数少ない分野の一つ。
ここではこの反応がなぜ進むのか?について考えるよ。

高校でも出てきた「平衡反応」。
この意味は『本当は止まってない』けど時間がたっても変わらないから『見かけ上反応が止まっている状態』ってことをまず理解しておいてね。

まず前提として

「反応後のA+BとC+Dの量はA+B、C+Dそれぞれの標準自由エネルギーの合計値が低いほうが多くできる
っていうことがいえる。

既にややこしい感じがでているけど・・・一つずつ解説していくね。
「標準自由エネルギー」についてはとりあえず(化合物がもつ)エネルギーと思ってくれればOK。
一般的に記号”“で表される。
これは自由エネルギーに2種類あって、そのうちの「ギブズの自由エネルギー(Gibbs free energy)」がこれにあたるからなんだ。
もう1つは興味があったら調べてみてね。

今回重要なのはこの「標準自由エネルギー」「差」なんだ。
数式では
標準自由エネルギーの差 = 生成系の自由エネルギーの合計 - 原系の自由エネルギーの合計
で表現できる。
見てのとおり各エネルギーの合計が求められればとっても簡単な計算だよ。

で、ここでちょっと数学の時間
標準自由エネルギーの差:ΔG°
気体定数:R(1.987 cal/(K・mol))
絶対温度:T
平衡定数:Keq

とした時
ΔG°=-R*T*lnKeq=-2.303*R*T*logKeq
※念のため補足すると、lnX≒2.303log10Xのことだよ
で、こいつを変形すると

Keq=e-ΔG°/RT

になる。
で、このKeqを求めると、反応が左辺(A+B)、右辺(C+D)のどちらに偏っているかがわかるよって話。

Keq=1 なら 左辺=右辺
Keq<1 なら 左辺>右辺
Keq>1 なら 左辺<右辺

っていうことになる。

今までの計算式から平衡定数と自由エネルギーの関係を表したのが以下だ。
ΔG°<0 かつ Keq>1
ΔG°>0 かつ Keq<1

これは全ての反応の基本になるからよく覚えてね。

さてΔG°は以下の方法でも求めることができる。

ΔG°=ΔH°-TΔS°≒ΔH°
↑はΔH°>ΔS°のときね。
こういう時が多いよ。
理由は後ほど。

さて新しいやつが出てきたね。
ΔH°は「エンタルピー変化」
ΔS°は「エントロピー変化」
のこと。名前は似てるけど別物だよ。
それでは解説していくよ。

エンタルピー変化(ΔH°)
こいつは「反応による全ての結合エネルギーの変化」だよ

式にすると
ΔH°= 切断される結合の強さの総和 - 生成する結合の強さの総和
または
ΔH°= 反応前の全ての結合エネルギー - 反応後の全ての結合エネルギー
ってこと。

■エントロピー変化(ΔS°)
こいつは「反応に伴う自由度の変化」だよ。
エントロピーが高いってことは「自由度が高い」
エントロピーが低いってことは「自由度が低い」
ってこと。

例えば同じC3H6であるプロペンとシクロプロパンを比べてみる

プロペンのほうが自由に動かせる原子が多いのでエントロピーはシクロプロパンより大きくなるんだ。
この例のとおりシクロプロパンのような環状化合物よりプロパンのような非環状化合物の方がエントロピーは大きくなるよ。

あと一般的にエントロピーの大きさは
気体>液体>固体
になるよ。これについては気体は動かしやすそう、固体は動かし難そうって想像できるよね。

あと反応によって分子の数が増加するような反応はエントロピーが増大する
例えば以下みたいに1分子から2分子できるとか
2H2O→2H2+O2
これは分子の数が増加
結合により狭い範囲に留まっていた分子が自由に動ける領域を広げた
自由度が高くなった
的な解釈をするとわかりやすいんじゃないかな。

ではまた次回

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